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インプラント治療と骨粗しょう症

投稿日: 2015年11月9日  | カテゴリ: インプラント治療

 

インプラント治療と骨粗しょう症

 


骨粗しょう症という病気がありますよね。
皆さん、よく名前としては聞く病気だと思います。
簡単に言えば、高齢になった方が骨がすうそになっていく。

骨の中の密度自体が下がっていってしまうことで、骨折しやすくなってしまうんですね。
老人にとっての骨折という病気は、ものすごく怖い病気です。
簡単に言えば、それが直接、死につながることもありますし、

歩けなくなってもうそのまま寝たきりという形になってしまう方もいらっしゃいます。
そういった面では、骨粗しょう症のお薬というのは、ものすごく有用なお薬ですので、

今日の話は、骨粗しょう症になってらっしゃる方が飲んでいるのはもう仕方ないとして、

もしそうではなくて、まだ予防として骨粗しょう症のお薬を飲まれている方、

そういった方にはもしかしたら今日のお話というのは、「本当にいいんですか、

すこし考えてみてください」というお話になるかもしれません。

骨粗しょう症のインプラントに与える影響は、実はそんなにはないと思います。

骨粗しょうだということは、あまり問題にはならないと僕は思っています。
しかし、治療薬についてはまだ確定的ではないにしろ、いろんな問題が実は生じてきています。
整形外科の先生は、骨粗しょう症のお薬を予防的に投与している実績が今までちょっとありました。
それが実は、今になって多少の問題を引き起こしていると言えます。
歯科治療全体をどう捉えるのか、ということもありますが、今の骨粗しょう症状態が患者様のほうがどうなっているのか、

ということをもちろん見極めながら、タイミングを重視して歯科治療をされることを今後お勧めしていきたいと思っています。
それでは、今日のお話を始めたいと思います。


「インプラント治療と骨粗しょう症」です。
インプラントは骨のよりどころになります。インプラント体と骨がくっつくことをオッセオインテグレーションと言います。
従来、骨の硬さ弱い場合、インプラント体とくっつかない可能性が高くなるとされていましたが、

チタン製のインプラントは一度くっついたあと、なぜかその周囲でだけ骨の密度が上昇する、

いわゆる「よりどころ」となることが知られています。
さらに、インプラント治療では骨密度〔(骨の硬さ)〕をCTによって調べることもできるようになりました。
そのことにより、骨粗しょう症のリスクなどもより詳しくわかるようになりました。

現在のインプラント治療の失敗例は、実は骨が柔らかいよりも硬い場合に多いことがわかっています。
ドリルで骨に穴を開ける際に火傷を起こしたり、硬いために埋入するときに大きな力がかかり、

その力が開放されずに周囲の骨を壊してしまって、失敗する場合です。
もちろん、初期的な感染なども失敗の原因ですが、骨が柔らかいためという理由で失敗する症例は少ないようです。

ビスホスホネート〔(BP)〕は、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、

骨転移あるいは骨粗しょう症の治療薬として、多くの患者に用いられています。
有効性の高い薬であることも広く知られています。
通常、注射用のビスホスホネートは悪性腫瘍患者に、経口用のビスホスホネートは骨粗しょう症患者に用いられることが多いです。
近年、ビスホスホネート系の薬剤投与患者に、

歯科治療を契機とした顎骨壊死、(BRONJ)の発症が大きな問題となっています。
この顎骨壊死は、かなり広範囲に達し、骨が外部に露出して大きな痛みを伴うものです。

骨粗しょう症の原因として起こる骨折が、高齢者に多いことが知られています。
ビスホスホネート剤は有用な薬であり、高齢者の方が骨折になることを回避するのには大変有用な薬です。
高齢者の方が骨折から死に至る経過というは、かなり大きな問題となっていますので、

この薬はものすごく有用なものです。

 

ただ、実際には骨密度が下がった傾向がある程度で予防的な処方がされている場合も多く、

本当に必要かどうか、かかりつけの整形外科の先生にも問いただしてみる必要があります。

インプラント治療では、埋入手術により、骨の侵襲が加わります。さらに上部の構造、

いわゆる補てつ物を装着したのちも、インプラントには天然歯のような上皮付着の防御機構、

いわゆる外部からの進入に対して、守る機構が少ない〔ない〕ため、

常に生体内の環境と外部の環境が交通している状態であり、

BRONJ(ブロンジェ)の大きな危険因子であると考えられます。

既に日本でもインプラント治療を契機として発症したBRONJの報告もなされています。
しかし、この疾患に対して世界的にコンセンサスの取られた定義や診断基準は、いまだに作成されていません。

BRONJの予防策はどういったものがあるでしょうか。
感染源の除去を目的として抜歯、歯周処置〔治療〕、根の治療〔根管治療〕、

入れ歯〔義歯〕などの歯科処置は前もって行ったほうがいいと思います。
侵襲の大きなインプラント治療や埋伏した抜歯は避けましょう。
不完全埋伏歯及び被覆粘膜の薄い下顎隆起、口蓋隆起は前もって除去し、

1カ月の骨治癒期間を待ってから、ビスホスホネート系薬剤の治療を開始します。
つまり、これらの不完全埋伏歯などは口腔内と骨との関係がかなり交通する可能性が高いため、

予防処置としてもかなり重要視されます。
可能であれば、歯科治療か終了するまで、ビスホスホネート系薬剤の投与の延期を整形外科の先生に依頼しています。

では、現在投与中の患者さんに関しては、どうすればいいでしょうか?
歯科医師による、骨露出の有無のチェックと、X線診査などはできれば3カ月おきに行いましょう。
口腔内清掃、PMCTなどのメンテナンスを励行します。
抜歯、歯周外科、インプラント埋入などの顎骨に浸襲が及ぶ口腔外科処置は、できるだけ避けます。
軽度の動揺歯は固定し、膿瘍を伴う高度な動揺歯は抜歯し、抗菌薬を投与します。
義歯装着は可能ですが、過剰な力が加わらないように調整します。
口腔外科処置が行わなければならない場合は、ビスホスホネート系薬剤の投与の中止が必要です。
中止は整形外科の医師〔BP系薬剤処方医師〕と相談の上、決定する必要があります。

経口薬の場合、通常、骨粗しょう症に用いられているのはこちらです。
服用期間が3年以上、あるいは3年未満でも、コルチコステロイドが併用している時は、

少なくとも3カ月間は服用を中止し、治療後も骨の治癒傾向が認められるまでは中止を継続しています。
服用期間が3年未満で、リスク因子が少ない場合は通常の処置を行います。

注射薬の場合は、重度の患者さんに用いられているわけですが、投与中止の有用性については一定の見解がありません。
病状が許せば、投与中止することが推奨されます。
ただ、外国での報告例で、BRONJを起こしているのは、ほとんどの場合、

注射薬とされていますので、そういった面ではかなり禁忌という状態だと思います。

 

 


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